退職届の例文・書き方ガイド|円満退職できるテンプレート、マナーを解説

「退職を決意したものの、退職届の書き方が分からない…」 「すぐに使える例文が欲しい」 「手書きとPC、どっちがいい?封筒やペンの選び方は?」 「そもそも『退職願』と何が違うの?」

この記事では、そんなあなたの悩みをすべて解決します。

すぐに使える退職届のテンプレートから、法的なルール、好印象を与える封筒の選び方や提出マナー、そして万が一のトラブル対処法まで、円満退職に必要な知識をこの1ページに凝縮しました。

まずは、今すぐ使える例文から見ていきましょう。

【今すぐ使える】退職届 例文テンプレート(自己都合)

最も一般的な自己都合退職の場合の例文です。理由は具体的に書かず**「一身上の都合」**とするのがマナーです。

横書き(PC作成)の例文

Wordなどで作成し、印刷して署名・捺印するのが一般的です。

退職届


私儀

この度、一身上の都合により、来る令和〇年〇月〇日をもちまして、退職いたします。

令和〇年〇月〇日

所属:〇〇部 〇〇課
氏名:〇〇 〇〇 ㊞

株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇 〇〇 殿

縦書き(手書き)の例文

より丁寧な印象を与えたい場合や、会社の慣習が手書きの場合に適しています。

退職届
 
 
 
 
 
私儀
 
この度、一身上の都合により、来る令和〇年〇月〇日をもちまして、退職いたします。
 
 
 
令和〇年〇月〇日
 
 
          〇〇部 〇〇課
           (氏名)   ㊞
 
 
株式会社〇〇
代表取締役社長 〇〇〇〇 殿

2. 退職届の完璧な書き方|9つのルール

体裁を整えることは、あなたの誠意を示す第一歩です。以下のルールを守って作成しましょう。

  1. ① 用紙は「白地・無地」が基本 (A4 or B5)
    • コピー用紙や、無地またはシンプルな縦罫線の便箋を使用します。
  2. ② 筆記用具は「黒のボールペンか万年筆」
    • 消せるボールペンや鉛筆は絶対に使用しないでください。
  3. ③ 手書き?PC作成?どっちが正解?
    • 法的にはどちらも有効です。
    • 手書き: より丁寧で誠実な印象を与えます。迷ったら手書きが無難です。
    • PC作成: IT企業や外資系では一般的。PC作成でも、署名だけは手書きにすると丁寧です。
    • 注意: 修正液や修正テープは使わず、書き損じた場合は新しい用紙に書き直しましょう。
  4. ④ 表題は「退職届」
    • 最初の行の中央に、本文より少し大きな文字で記載します。
  5. ⑤ 書き出しは「私儀(わたくしぎ)」
    • 「私事ですが」という意味の謙譲語です。本文の前に、行末に小さく記載します。
  6. ⑥ 退職理由は「一身上の都合」が鉄則
    • 転職や結婚など、自己都合の場合は具体的な理由を書く必要はありません。**「一身上の都合により」**と記載するのが、不要な詮索を避けるための社会的なマナーです。
  7. ⑦ 日付は「提出日」と「退職日」を正確に
    • 提出日: 書類を会社に提出する日付。
    • 退職日: 上司と合意した最終出社日または在籍最終日。
  8. ⑧ 署名・捺印を忘れずに
    • 所属部署名をフルネームの前に記載し、氏名の下に捺印します。
  9. ⑨ 宛名は「会社の最高責任者」
    • 直属の上司ではなく、会社の代表者(例:代表取締役社長)の役職と氏名を記載します。敬称は「殿」を用います。

3.【図解】「退職届」「退職願」「辞表」の違いは?どれを出すべき?

この3つの書類は、目的と法的効力が全く異なります。間違った書類を提出すると、トラブルの原因になりかねません。

違いが一目でわかる比較表

書類名目的法的効力撤回こんな時に使う
退職願退職の合意を求める労働契約の合意解約の申込み会社が承諾する前なら可能退職の意思を最初に伝え、円満に交渉したい時
退職届退職を確定的に通知する一方的な労働契約の解約通知原則として不可能退職日が確定した後に、正式な意思表示として提出する時
辞表役職を辞任する委任契約の解除通知原則として不可能取締役などの役員、公務員が使用(一般社員は使わない)

退職願は退職を「お願い」する書類

会社に対して「退職させてください」とお願いし、合意形成を求めるための書類です。会社が承諾するまでは撤回できるため、交渉の余地が残ります。円満退職を目指す第一歩として使われます。

退職届は退職を「届け出る」最終通知

「〇月〇日に退職します」という一方的な意思表示です。一度提出・受理されると、原則として撤回できません。強い意志を示す最終通告であり、上司と退職日が合意した後に提出するのが一般的です。

辞表は役員や公務員が「役職を辞する」書類

社長や取締役、公務員など、雇用契約ではなく委任契約で働いている人が使用します。一般の従業員が使うことはありません。

【結論】円満退職なら「退職願」→「退職届」の流れがベスト

理想的なプロセスは以下の通りです。

  1. 口頭で直属の上司に退職の意思を伝え、相談する。
  2. (必要であれば)「退職願」を提出し、退職日などの条件を交渉・合意する。
  3. 合意内容の証拠として、正式な「退職届」を提出する。

多くの場合、口頭での合意の後に「退職届」を提出するだけで問題ありません。

4.退職届の封筒|正しい選び方・書き方・入れ方

書類だけでなく、それを入れる封筒にもマナーがあります。

  • 封筒の選び方
    • : 白無地
    • サイズ: 書類がA4なら長形3号、B5なら長形4号
    • その他: 郵便番号枠のない、中身が透けない二重封筒がベター
  • 封筒の書き方(表面・裏面)
    • 表面: 中央に「退職届」と黒ペンで書く。宛名は不要です。
    • 裏面: 左下に、自分の所属部署と氏名を書く。
  • きれいな三つ折りの方法と封入の向き
    1. 書類の文章が書いてある面を内側にして、下から1/3を折り上げる。
    2. 次に上から1/3をかぶせるように折る。
    3. 封筒裏面から見て、書類の右上が封筒の右上に来るように入れる。(開封した人が表題「退職届」をすぐ読める向き)
    4. のり付けは不要。フラップ(フタ)は折るだけでOK。封をする場合は「〆」マークを書きます。

5.退職届を出す前に!円満退職の進め方と提出マナー

提出の作法は、あなたの社会人としての評価を左右する重要なプロセスです。

【最重要】最初に伝える相手は「直属の上司」

上司を飛び越えて人事に話したり、同僚に漏らしたりするのは最大のNG行為です。必ず直属の上司に一番最初に伝えましょう。これは組織の秩序を守るための鉄則です。

いつ伝える?避けるべきタイミング

会社の就業規則を確認し、定められた予告期間(通常は1ヶ月〜3ヶ月前)を守るのが円満退職の鍵です。

  • 避けるべき時: 繁忙期、月曜の朝、締切直前など。
  • おすすめの時: 業務が落ち着いた終業後など、上司が時間を確保しやすいタイミング。

どう切り出す?スマートな伝え方

「ご報告」ではなく「ご相談」という形で切り出すのがポイントです。

「〇〇部長、今、少々よろしいでしょうか。今後のことでご相談したいことがございます。」

会議室など、他の人に聞かれない場所で話す時間を設けてもらいましょう。

【ケース別】退職届の例文と注意点

会社都合での退職

リストラや事業所閉鎖、退職勧奨など、会社側の理由で退職する場合は、**絶対に「一身上の都合」と書いてはいけません。**失業保険の給付で不利になる可能性があります。

退職理由は「事業部門縮小のため」「貴社、退職勧奨に伴い」など、事実を簡潔に記載します。

例文(退職勧奨の場合)

この度、貴社、退職勧奨に伴い、来る令和〇年〇月〇日をもちまして、退職することに合意いたしました。

契約社員・期間社員の場合

  • 契約満了: 契約期間満了による退職の場合、本来は退職届は不要です。会社から求められた場合のみ提出します。
  • 契約期間の途中: 自己都合で辞める場合は、正社員と同様に「退職届」を提出します。

パート・アルバイトの場合

基本的には正社員と同じです。会社のルールを確認し、求められた場合は「退職届」を提出しましょう。理由は「一身上の都合」で問題ありません。

6.【Q&A】退職届のよくある質問とトラブル解決法

Q. 就業規則に「1ヶ月前」とありますが、2週間で辞められますか?

A. 法律上は可能ですが、円満退職のためには就業規則に従うのがベストです。

民法第627条では「2週間前の予告で退職できる」と定められており、これが法律上の最低ラインです。しかし、円滑な引き継ぎや良好な関係を保つためには、会社の就業規則(例:1ヶ月前予告)を尊重することが強く推奨されます。法律は、会社が不当に引き留める場合の「最後の切り札」と考えましょう。

Q. 退職届を受け取ってもらえません(受理拒否)

A. 内容証明郵便で郵送するという最終手段があります。

上司が受理しない場合、まずはその上の役職者や人事部に相談しましょう。それでも解決しない場合は、内容証明郵便で会社に送付します。これは「誰が、いつ、どんな内容の文書を送ったか」を郵便局が公的に証明するサービスで、「受け取っていない」という言い逃れをできなくする強力な法的手段です。

Q.「後任が見つかるまで辞めるな」「損害賠償を請求する」と言われました

A. これらは不当な引き留め(在職強要)であり、法的な根拠はほとんどありません。

  • 後任探し: 会社の経営責任であり、従業員の責任ではありません。
  • 損害賠償: 通常の退職プロセスを踏んでいる限り、請求が認められることはまずありません。脅し文句と捉えて冷静に対応しましょう。

Q. 有給休暇の消化を認めてくれません

A. 会社の繁忙期などを除き、原則として従業員は残った有給休暇を消化する権利があります。

会社には時季変更権がありますが、退職日が確定している場合は変更する日がないため、有給消化を拒否することはできません。

Q. 相談できる公的機関はありますか?

A. 全国の「労働基準監督署」や「総合労働相談コーナー」で無料で相談できます。

賃金未払いや不当な引き留めなど、明らかな法律違反がある場合は、これらの機関が会社への指導や助言を行ってくれます。最終手段としては、弁護士への相談も有効です。

まとめ:正しい知識で、円満な退職を実現しよう

退職は、あなたのキャリアにおける大切な一歩です。感情的な対立を避け、手続きを正確に進めることが、気持ちよく次のステージへ向かうための鍵となります。

  • 最重要ポイント:
    • 例文を参考に、正確な書類を作成する。
    • 「退職願」と「退職届」を戦略的に使い分ける。
    • 提出マナーを守り、円満なコミュニケーションを心がける。
    • トラブルに備え、法的な対処法を知っておく。

このガイドが、あなたのスムーズで前向きな退職の助けとなれば幸いです。

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