
相手にミスや改善点を伝えるとき、言い方を間違えると関係がギクシャクすることもありますよね。
とくにメールでは表情や声のトーンが伝わらないため、より慎重な言葉選びが大切です。
この記事では、相手を傷つけずに伝えるための「やわらかい指摘の言い方」を、ビジネスメールで使える文例とともに紹介します。
1.やわらかい言い方の前に知っておきたい基本的な構成と丁寧な表現
ビジネスメールで相手にフィードバックや指摘を求める際には、明確な構成と丁寧な言葉遣いが不可欠です。基本的な構成要素を押さえることで、相手に失礼なく、かつ的確に意図を伝えることができます。
まず、件名はメールの目的を明確に伝える必要があります。
例えば、「【〇〇プロジェクト】フィードバックのお願い」のように、具体的なプロジェクト名や報告書名を記載することで、受信者は内容をすぐに理解できます。
次に、宛名は相手の名前を丁寧に記載します。「〇〇様」のように、役職名をつける場合もあります。丁寧な呼びかけは、相手への敬意を示す上で重要です。
挨拶では、時候の挨拶や日頃の感謝の言葉などを述べます。「いつもお世話になっております。△△です。」のように始めることで、丁寧な印象を与え、スムーズに本文へと繋げることができます。
本文では、まず指摘をお願いしたい事柄を具体的に伝えます。「〇〇プロジェクトに関する最終案を添付いたしました。」のように、何を対象にフィードバックを求めているのかを明確にすることが大切です。
さらに、なぜ指摘が必要なのか、その目的を伝えることで、相手に協力の意義を理解してもらうことができます。
「本プロジェクトの成功に向けて、貴重なご意見やご指摘をいただけますと幸いです。」といった表現が適切です。
もし特に意見や指摘が欲しい項目やセクションがあれば、「特に〇〇について、ご意見をお聞かせください。」と具体的に示すことで、相手は焦点を絞ってフィードバックしやすくなります。
そして、指摘された点に対して、どのように対応するのかを伝えることで、相手は安心して意見を述べることができます。「ご指摘いただいた点については、迅速に対応し、改善に努めます。」と伝えることが効果的です。
結びの言葉では、指摘をお願いする旨を改めて伝え、協力をお願いします。
「ご多忙のところ恐縮ではございますが、ご確認の上、ぜひご指摘ください。何卒よろしくお願いいたします。」のように、相手の状況を考慮した丁寧な表現を用いることが大切です。
最後に、署名として自分の名前と所属を記載します。「△△」のように、必要に応じて所属部署や連絡先などを加えることもあります。
上記のような構成要素に加えて、以下のような丁寧な表現を用いることで、より相手に配慮したコミュニケーションが可能になります。
ご指摘ください
相手に意見や誤りの指摘を丁寧に求める基本的な表現です。ビジネスシーンにおける幅広い状況で活用できます。
ご意見をお聞かせください
相手の考えや評価を尊重し、オープンなコミュニケーションを促す表現です。製品やサービスの改善に役立てるためのフィードバックを求める際に適しています。
ご感想をお寄せください
相手の印象や評価を求める表現で、製品やサービスに対する率直な意見を期待する際に用います。
アドバイスをお願いいたします
相手に指導や助言を仰ぐ際に使用し、学びたいという意向を示すことができます。
お知恵をお借りできればと思います
相手の知識や経験を尊重し、その知識を活用したいという謙虚な姿勢を示す表現です。
不備等ございましたら
自身の提供した情報や成果物に不完全な点や誤りがあるかもしれないという認識を示し、相手に指摘の余地を与える丁寧な表現です。情報の提供後や作業完了後に用いるのが適切です。
何か問題がございましたら
問題点の報告を促し、問題解決への協力を求める表現です。
ご不明点がございましたら
疑問点や不明な点があれば質問してほしいと伝える表現です。
お気づきの点がございましたら
何か気になる点や気づいた点があれば教えてほしいと依頼する表現です。
ご報告いただければ幸いです
問題や状況の報告を丁寧に求める表現で、適切な対応を促します。
これらの表現を状況に応じて適切に使い分けることで、相手に配慮しながらも、必要なフィードバックを得ることが可能になります。
2.間違いを指摘する言い方!やわらかく丁寧な表現、メール例文まとめ
相手のミスや間違いを指摘する際には、特に丁寧な言い回しを心がける必要があります。
直接的な表現は相手に不快感を与え、関係性を損なう可能性があるため、クッション言葉や間接的な表現を用いることが重要です。
まず、相手から指摘を受けた場合は、「ご指摘いただきありがとうございます」と感謝の意を伝えることが大切です。
たとえ納得できない点があったとしても、指摘してくれたこと自体に感謝を示すことで、良好なコミュニケーションを維持できます。
ただし、指摘内容に同意できない場合は、安易に「ご指摘のとおり」と答えるのは避けるべきです。
相手の間違いを指摘する際には、以下のような表現を用いることで、よりやわらかく、丁寧な印象を与えることができます。
ひとつ訂正がありまして、ご連絡申し上げました
訂正があることを伝える際の穏やかな前置きとして使用できます。
細かいことで申し訳ないのですが
些細な点を指摘する際に、相手への配慮を示すクッション言葉です。
私も気がつかなかったのですが
自身も事前に確認していなかったことなどを伝えることで、一方的な指摘にならないように配慮する表現です。
~の誤りではないかと思われますが、ご確認いただけますでしょうか
断定的な表現を避け、「~ではないか」という推測の形にし、確認を促すことで、相手に配慮しながら指摘することができます。根拠となる情報があれば、同時に伝えるとより親切です。
添付ファイルを確認しましたところ、昨年度の~をお送りいただいているようです。お手数ですが、今年度のものを再送信していただいてもよろしいでしょうか
添付ファイルの間違いを指摘する際に、「~のようです」という表現を用いることで、直接的な指摘を避け、角の立たないコミュニケーションを心がけることができます。再送をお願いする際にも、「お手数ですが」というクッション言葉を添えることで、より丁寧な印象になります。
請求書の金額が〇月〇日付の見積書と違っているようです。ご確認のうえ、訂正したものをお送りください
金額の誤りのように、明確な根拠がある場合は、丁寧に確認を促し、訂正を依頼します。
~となっておりましたが、正しくは、~です
事実と異なる点を訂正する際に、直接的でありながらも丁寧な表現です。
手違いがありました
自社側のミスであることを認めることで、相手の指摘を受け入れやすい状況を作ります。
誤り / 不備
より丁寧な言葉遣いで間違いや不完全な点を指摘する際に用います。
お忙しいところ恐縮ですが / お手数をおかけしますが
指摘を行う前にクッション言葉を添えることで、相手への配慮を示すことができます。
ご指摘いただけますと幸いです
相手に指摘をお願いする際の丁寧な表現です。
お申し付けください
何か意見があれば遠慮なく言ってほしいという気持ちを丁寧に伝える表現です。
認識違いがあれば教えてください
自分の理解が間違っている可能性があることを示唆し、相手に確認を求める表現です。
手元で~と記録していますが、いま一度確認させていただけますでしょうか
「間違いの指摘」を「記録の確認」という形にすることで、指摘する側の心理的な負担を軽減することができます。
3.注意喚起をするためのやわらかいメール書き方と例文
ビジネスシーンにおいて、従業員や関係者に対して注意を促す必要がある場合、注意喚起メールは有効な手段です。効果的な注意喚起メールを作成するためには、明確な構成と具体的な情報提供が重要になります。
まず、件名には、メールの目的が明確に伝わるように「注意喚起」という言葉を含め、具体的な内容がわかるように記述します。
例えば、「【重要】〇〇に関する注意喚起」や「セキュリティに関する注意喚起とガイドラインのお知らせ」といった件名が考えられます。
次に、宛名は、誰に宛てたメールであるかを明確にするため、「社員各位」や「関係各位」のように、対象者を記載します。
挨拶では、丁寧な言葉遣いを心がけ、日頃の協力に対する感謝の言葉などを添えます。「いつもお世話になっております。」といった一般的な挨拶に続けて、差出人を明記します。
本文では、なぜ注意喚起が必要なのか、その理由や背景を具体的に説明します。
「最近、〇〇に関する問題が発生しており、今後の同様の事態を防ぐため、下記の点にご注意ください。」のように、具体的な状況を伝えることが重要です。
さらに、どのようなリスクや脅威が存在するのかを具体的に示します。箇条書きなどを活用して、わかりやすく記述すると良いでしょう。
そして、具体的な予防策や対処法を提示します。従業員が取るべき行動を明確に伝えることが重要です。「〇〇を行う際は、必ず△△を確認してください。」といった指示を具体的に示すことが効果的です。
添付ファイルがある場合は、その旨を明記し、参照を促します。「詳細については、添付のガイドラインをご確認ください。」のように記載します。
問い合わせ先として、質問や不明点があった場合の連絡先を記載することで、受信者の疑問に対応することができます。
結びの言葉では、組織全体の安全や業務の円滑な遂行のためには協力が不可欠である旨を伝え、引き続きの協力を呼びかけます。「皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。」といった表現が適切です。
4.クッション言葉を用いたよりやわらかい言い方、メール表現
ビジネスメールで相手に何かを伝えたい時、特に指摘や依頼など、相手に負担をかけたり、反論や否定に繋がる可能性のある内容を伝える際には、クッション言葉を用いることで、表現を和らげ、より丁寧な印象を与えることができます。
クッション言葉は、本題の前に添えることで、相手に配慮する気持ちを示し、不快感を与えることなく、こちらの意見や要望を受け入れてもらいやすくする効果があります。
以下に、様々な状況で使えるクッション言葉の例を挙げます。
依頼したいことを伝えるとき:
恐れ入りますが
お忙しいところ恐縮ですが
お手数をおかけしますが
ご多忙中とは存じますが
ご足労をおかけいたしますが
もし可能であれば
ご面倒でなければ
ご迷惑でなければ
差し支えなければ
断りたいことを伝えるとき:
申し訳ございませんが
あいにくですが
残念ですが
誠に申し上げにくいのですが
身に余るお話ではありますが
せっかくのご厚意ですが
心苦しいのですが
ご期待に添えず申し訳ありませんが
意見や提案をするとき:
申し上げにくいのですが
お言葉を返すようですが
出過ぎたことを申しますが
差し出がましいようですが
僭越ながら
見解が分かれる点かと存じますが
余計なこととは存じますが
私の考え過ぎかもしれませんが
質問したいことを伝えるとき:
差し支えなければ
もしよろしければ
ご迷惑でなければ
お尋ねしてよろしいでしょうか
立ち入ったことを伺いますが
失礼ですが
念のため伺いたいのですが
恐れ入りますが
お忙しい中、申し訳ありませんが
おうかがいしたいことがあるのですが
お教えいただきたいのですが
お時間が許せば
修正や改善をお願いしたいとき:
私共の説明不足で恐縮なのですが
言葉足らずで申し訳ありませんが
説明が足りず恐縮ですが
こちらの都合により恐れ入りますが
お手数をおかけし大変恐縮ですが
細かいことを言ってしまい大変恐縮ですが
これらのクッション言葉を用いることで、例えば、「ご指摘ください」と直接的に言う代わりに、「お忙しいところ恐縮ですが、もし何かお気づきの点がございましたら、ご指摘いただけますと幸いです」のように、より丁寧でやわらかい印象を与えることができます。
ただし、クッション言葉を多用しすぎると、かえって回りくどく、意図が伝わりにくくなる可能性もあるため、状況に応じて適切なクッション言葉を選ぶことが重要です。また、相手に確実に伝えたいことがある場合には、曖昧な表現にならないように注意が必要です。
5.質問形式を用いた指摘メールの例
直接的な指摘を避けたい場合や、相手に自ら気づきを促したい場合には、質問形式を用いたメールが有効です。質問形式にすることで、相手に考える余地を与え、より穏やかな印象で問題を提起することができます。
以下に、質問形式を用いた指摘メールの例文をいくつか示します。
例1:資料の不備について 件名:【〇〇プロジェクト】資料のご確認のお願い 〇〇様
いつもお世話になっております。△△です。
先ほどお送りいたしました〇〇プロジェクトの資料について、念のためご確認いただきたい点がございます。
〇〇の箇所について、〇〇という理解でよろしいでしょうか。もし私の認識に誤りがありましたら、ご指摘いただけますと幸いです。
お忙しいところ恐縮ですが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
△△
例2:スケジュールの確認について 件名:【〇〇会議】日程調整のお願い 〇〇様
お疲れ様です。△△です。
〇月〇日に予定しておりました〇〇会議ですが、〇〇様のスケジュールでご都合の悪い時間帯はございますでしょうか。もしございましたら、他の候補日をご提案させていただければと存じます。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご都合をお知らせいただけますでしょうか。
△△
例3:添付ファイルについて 件名:【〇〇報告書】ご確認のお願い 〇〇様
いつもありがとうございます。△△です。
〇〇報告書を添付いたしましたので、ご確認をお願いいたします。
添付ファイルは問題なく開けますでしょうか。もし開けない場合は、お手数ですがご連絡いただけますと幸いです。
よろしくお願いいたします。
6.提案形式を用いた指摘メールの例
相手に改善を促したい場合や、より良い方法があることを示唆したい場合には、提案形式を用いたメールが効果的です。提案形式にすることで、一方的な指摘ではなく、共に問題を解決しようとする姿勢を示すことができます。
以下に、提案形式を用いた指摘メールの例文をいくつか示します。
例1:業務効率化の提案 件名:【〇〇業務】効率化のご提案 〇〇様
いつも大変お世話になっております。△△です。
日頃の業務の中で、〇〇の作業に時間がかかっているように感じております。つきましては、〇〇のプロセスを△△のように変更することで、より効率的に作業を進めることができるのではないかと考えております。
もしよろしければ、一度ご検討いただけますでしょうか。
△△
例2:資料作成方法の提案 件名:【〇〇資料】作成方法のご提案 〇〇様
お疲れ様です。△△です。
〇〇資料について、いつも素晴らしい資料を作成いただき、ありがとうございます。一点、〇〇の項目についてですが、△△の情報を加えることで、さらに分かりやすくなるのではないかと考えております。
ご検討いただければ幸いです。
△△
例3:会議の進め方に関する提案 件名:【〇〇会議】進め方に関するご提案 〇〇様
いつも活発なご意見交換、ありがとうございます。△△です。
〇〇会議ですが、現状の進め方に加えて、〇〇の時間を設けることで、より深い議論ができるのではないかと考えております。
もし可能であれば、次回の会議から試してみてはいかがでしょうか。
△△
提案形式を用いる際には、現状の問題点を具体的に指摘した上で、提案によってどのような効果が期待できるのかを明確に伝えることが重要です。
また、提案を受け入れてもらうためには、相手の立場や状況を考慮し、丁寧な言葉遣いを心がけることが大切です。「~していただけると、~のではないでしょうか」のように、控えめな表現を用いることで、相手に受け入れられやすくなります。
7.汎用性の高い丁寧なフレーズ集
以下に、ビジネスメールで指摘や注意喚起を行う際に、様々な状況で活用できる汎用性の高い丁寧なフレーズをまとめました。
- いつもお世話になっております。
- 恐れ入りますが、~
- お手数をおかけしますが、~
- ご多忙のところ恐縮ですが、~
- ~いただけると幸いです。
- ~いただけますでしょうか。
- ご確認いただけますと幸いです。
- 何卒よろしくお願いいたします。
- 引き続きよろしくお願いいたします。
- ~について、もし何かご不明な点がございましたら、お気軽にご連絡ください。
- 念のため、~をご確認いただけますでしょうか。
- ~の件、承知いたしました。
- ご指摘いただきありがとうございます。
- ご意見ありがとうございます。
- 貴重なご意見をいただき、誠にありがとうございます。
- 今後の参考にさせていただきます。
- ~について、改善に努めます。
- ~について、再発防止策を講じます。
- ~について、ご検討いただけますと幸いです。
- ~について、ご提案させていただきます。
- ~について、いかがでしょうか。
- ~について、ご教示いただけますでしょうか。
- ~について、お聞かせいただけますでしょうか。
- ~について、お知らせいただけますでしょうか。
- ~について、ご協力をお願いいたします。
- ~について、ご理解いただけますと幸いです。
- ~について、ご容赦いただけますようお願い申し上げます。
- ~について、お詫び申し上げます。
- ~について、深くお詫び申し上げます。
- ~について、大変申し訳ございませんでした。
- ~について、今後ともよろしくお願いいたします。
これらのフレーズを組み合わせることで、様々な状況に対応できる丁寧なビジネスメールを作成することができます。
まとめ
本稿では、ビジネスメールで何かを指摘する際のやわらかい言い方について、基本的な構成から具体的な表現方法まで詳しく解説しました。
相手に失礼なく、かつ効果的に指摘や注意喚起を行うためには、丁寧な言葉遣いはもちろんのこと、クッション言葉や質問形式、提案形式などを活用し、状況に応じた適切な表現を選ぶことが重要です。
今回ご紹介した例文やフレーズ集を参考に、日々のビジネスコミュニケーションにおいて、より円滑で良好な関係構築を目指していただければ幸いです。