【業種別】ヒヤリハット報告書の例文集|そのまま使える原因・対策付きテンプレート

ヒヤリハットの報告書、どう書けばいいんだろう?」「自分の職場に合った例文が見つからない…

そんなお悩みはありませんか?

ヒヤリハット報告は、重大な事故を防ぐための宝の山です。しかし、いざ書こうとすると筆が止まってしまうことも多いですよね。

この記事では、さまざまな業種の現場ですぐに使える具体的なヒヤリハットの例文を、原因対策とセットで豊富に紹介します。報告書の書き方が分からない方でも、この記事を読むだけで、ポイントを押さえた質の高い報告書が作成できるようになります。

この記事でわかること

  • 業種別(製造、建設、介護、保育など)の豊富なヒヤリハット例文
  • そのまま使える報告書のテンプレートと書き方のコツ
  • なぜヒヤリハット活動が重要なのかという基本

あなたの職場の安全を守るため、ぜひこの記事をご活用ください。

【業種別】すぐに使えるヒヤリハット例文集 ⛑️

ここでは、主要な業種別に、現場で起こりがちなヒヤリハットの事例を「状況・原因・対策」のセットでご紹介します。ご自身の職場の状況に合わせてアレンジしてご活用ください。

製造業・工場

製造現場では、機械操作や運搬作業など、日々のルーティンワークに危険が潜んでいます。「いつもやっているから大丈夫」という慣れが、思わぬヒヤリハットにつながることも少なくありません。

事例1:回転機械への巻き込まれ

項目内容
【状況】稼働中のベルトコンベアを清掃中、ローラーに付着した汚れを軍手で拭き取ろうとした際、軍手が引き込まれそうになった。
【原因】(直接原因) 「清掃時は機械を停止する」という基本ルールを守らなかった。(根本原因) 生産を優先する意識から、機械を止める手間を惜しんだ。回転部付近での軍手着用が危険であるという認識不足。
【対策】1. ルール徹底:清掃・点検時は必ず機械を停止し、電源をロックする「ロックアウト」を義務付け、管理者が遵守状況を確認する。2. 設備改善:安全カバーを開けると自動で機械が停止するインターロック装置を設置する。3. 教育:巻き込まれ危険のある作業(ボール盤など)では、手袋の着用を禁止するルールを周知徹底する。

事例2:フォークリフトとの接触

項目内容
【状況】倉庫内の見通しの悪い通路の角で、歩行中に後退してきたフォークリフトと衝突しそうになった。
【原因】(直接原因) 歩行者の前方不注意と、フォークリフト運転者の安全確認不足。(根本原因) 通路の見通しの悪さ。工場内の騒音で後退警報音が聞こえにくかった。歩行者通路と車両通路の区別が曖昧だった。
【対策】1. 環境改善:見通しの悪い角にカーブミラーを設置する。2. 設備改善:警報音に加え、光で危険を知らせる回転灯(パトライト)をフォークリフトに装備する。3. ルール徹底:通路の角では必ず一時停止と指差呼称を義務付ける。歩行者通路をラインや柵で明確に区画する。

建設業

高所作業や重機作業など、常に大きな危険と隣り合わせの建設現場。一つのヒヤリハットが、大事故に直結する可能性をはらんでいます。

事例1:足場からの墜落・転落

項目内容
【状況】足場上を移動中、床に放置されていた結束用の番線(針金)につまずき、転落しそうになった。とっさに手すりを掴んだため、墜落は免れた。
【原因】(直接原因) 足元への注意不足。(根本原因) 作業床の整理整頓(5S)が不十分で、つまずきの原因となるものが放置されていた。作業前の安全点検の形骸化。
【対策】1. 5S徹底:足場上を含む全ての作業場所に、資材やゴミを放置しないルールを厳守させる。2. 手順徹底:毎日の作業開始前に、作業床に危険物がないかを作業員自身が点検する「ツールボックスミーティング」を確実に実施する。

事例2:資材の落下

項目内容
【状況】足場の解体中、部材が固定されていると思い込みクランプを外したため、資材が地上に落下した。幸い通行人には当たらなかった。
【原因】(直接原因) 部材の固定状況に関する思い込み(確認不足)。(根本原因) 作業開始前の落下防止ネットの点検不備。解体手順に関する事前の打ち合わせが不十分だった。
【対策】1. 手順徹底:作業前に、作業手順と部材の固定状況について作業員全員で指差しながら再確認する。2. 管理強化:作業エリア直下には、カラーコーンやバーで第三者の立入禁止区域を明確に設定する。

医療・介護

患者さんや利用者さんの生命・健康に直結する医療・介護現場。特に「投薬」「移乗」「食事」の場面では、一瞬の気の緩みが重大な結果を招きかねません。

事例1:与薬(服薬)エラー

項目内容
【状況】朝食後の服薬介助の際、同姓の別利用者の薬を配薬し、ご本人が服用する直前に間違いに気づいた。
【原因】(直接原因) 利用者本人と薬の照合確認が不十分だった。(根本原因) 忙しい時間帯で焦りがあった。思い込みによる確認作業の省略。
【対策】1. 手順徹底:与薬時に「氏名(フルネーム)」「薬剤名」「用法・用量」を声に出して確認する「3点確認」を義務付ける。2. システム化:バーコード認証による与薬管理システムを導入し、ヒューマンエラーを防ぐ。3. 環境整備:薬の保管ボックスを個人ごとに色分けするなど、視覚的に間違いにくい工夫をする。4. ダブルチェック:特にリスクの高い薬剤は、2名の職員によるダブルチェックを必須とする。

事例2:移乗時の転倒・転落

項目内容
【状況】車椅子からベッドへの移乗介助中、車椅子のブレーキをかけ忘れていたため車椅子が動き、利用者が転落しそうになった。
【原因】(直接原因) 車椅子のブレーキのかけ忘れ。<br>(根本原因) 介助に慣れ、基本的な安全確認を怠ってしまった。
【対策】1. 手順徹底:移乗介助前に「ブレーキ確認、高さ調整、動線確保」などを指差呼称するチェックリストを実践する。2. 福祉用具の活用:必要に応じてスライディングボードやリフトなどを積極的に活用し、職員の負担と利用者のリスクを軽減する。3. アセスメント:利用者の身体能力を定期的に再評価し、介助方法(1人介助か2人介助かなど)を常に見直す。

保育

子どもの予測不能な行動は、多くのヒヤリハットを生み出します。特に「誤飲」「遊具での事故」「アレルギー」は、常に細心の注意が必要です。

事例1:玩具などの誤飲

項目内容
【状況】年長児クラスで使ったビーズが床に落ちており、ハイハイしていた1歳児が口に入れようとしたところを、保育士が寸前で発見し取り上げた。
【原因】(直接原因) 床に小さな異物が落ちていた。<br>(根本原因) 異年齢の活動スペースの管理が不十分だった。活動後の片付けと清掃・点検が徹底されていなかった。
【対策】1. 環境整備:乳幼児の手が届く範囲に、誤飲の可能性がある小さな物(直径39mmの円を通過するもの)を置かないルールを徹底する。2. ルール徹底:活動後は、保育士が床の上をくまなく点検し、危険物がないことを確認してから次の活動に移る。3. 用具の活用:誤飲チェッカー(スモールパーツシリンダー)を使い、玩具が乳児にとって安全な大きさか定期的に確認する。

事例2:アレルギー対応のニアミス

項目内容
【状況】卵アレルギーのある園児に、誤って通常食のオムレツを配膳しそうになった。配膳直前に別の保育士が気づき、事なきを得た。
【原因】(直接原因) 配膳担当者の確認ミス。(根本原因) アレルギー対応食であることを示す視覚的な目印がなかった。複数人によるチェック体制がなかった。
【対策】1. 視覚的管理:アレルギー対応食は、食器やトレーの色を通常食と明確に変える。2. ダブルチェック体制:給食を提供する前に、調理担当者と配膳担当者の2名で、園児の名前、アレルギー内容、提供食事が一致しているかを必ず確認する。3. 情報共有:アレルギーを持つ園児の写真付きリストを給食室と各保育室の見やすい場所に掲示し、全職員がいつでも確認できるようにする。

運輸・運転

一瞬の判断ミスが重大事故に直結する自動車の運転。ヒヤリハットの経験を振り返ることが、安全運転への第一歩です。

事例1:交差点でのニアミス

項目内容
【状況】青信号に従い交差点を直進中、対向車が信号無視をして右折してきたため、急ブレーキをかけて衝突を回避した。
【原因】(直接原因) 相手車両の交通違反。(根本原因) 「青信号だから安全だろう」という思い込み(だろう運転)があった。
【対策】1. 意識改革:「対向車が無理に右折してくるかもしれない」といった**防衛運転(かもしれない運転)**を徹底する。2. 習慣化:青信号でも、交差点に進入する直前に必ず左右の安全を確認する習慣をつける。

事例2:車線変更時のヒヤリ発見

項目内容
【状況】サイドミラーで後方を確認し車線変更を開始したところ、死角にいたバイクからクラクションを鳴らされ、慌てて元の車線に戻った。
【原因】(直接原因) 死角の確認不足。(根本原因) ミラーのみに頼り、直接目で見て安全を確認する「目視」を怠った。
【対策】1. 手順徹底:車線変更時は、「①合図(ウインカー)→②ミラー確認→③目視(ショルダーチェック)」の3ステップを必ず実行する。2. 知識習得:自分の車の死角範囲を正しく理解し、特に大型車の近くを走行する際は、相手の死角に入らないよう意識する。

オフィスワーク

安全と思われがちなオフィスにも、転倒や情報漏洩といった特有の危険が潜んでいます。

事例1:床の配線ケーブルでの転倒

項目内容
【状況】書類の束を抱えて通路を歩行中、床を這っていた電源ケーブルに足を引っ掛け、転倒しそうになった。
【原因】(直接原因) 足元の確認不足。(根本原因) ケーブル類の配線管理が不適切で、通路に障害物が存在していた。事務所内の整理整頓が不十分だった。
【対策】1. 環境整備:電源ケーブルなどは床用モールでカバーするか、壁際に配線し、通路を横切らないようにする。2. 5S推進:定期的に職場を巡視し、通路に物が放置されていないかを確認し、常に安全な動線を確保する。

事例2:メールの誤送信

項目内容
【状況】複数社に案内メールを一斉送信する際、宛先を「BCC」にすべきところを、誤って「CC」に入力したまま送信ボタンを押す寸前で気づいた。
【原因】(直接原因) 宛先設定の確認ミス。(根本原因) 締め切り間近で急いでいたための焦り。複数の作業を同時にこなしていたことによる注意散漫。
【対策】1. システム導入:外部へのメール送信時に、宛先や添付ファイルをポップアップで再確認させるツールを導入する。送信ボタンを押してから実際に送信されるまで数秒間の猶予を持たせる「送信遅延機能」を設定する。2. ルール徹底:機密情報を含むメールを送信する場合は、送信前に別の担当者が宛先と内容をダブルチェックするルールを設ける。

すぐに書ける!ヒヤリハット報告書の書き方【5W1Hテンプレート】📝

質の高いヒヤリハット報告書は、情報の抜け漏れがなく、誰が読んでも状況が正確にわかることが重要です。そのための最強のフレームワークが「5W1H」です。

項目ポイント記入例
When(いつ)発生日時2025年8月23日 14:30頃
Where(どこで)発生場所第2工場 組立ライン3 プレス機付近
Who(誰が)関係者作業員A(経験5年)
What(何を)何が起きたかプレス機で製品を取り出す際、下降してきた金型に挟まれそうになった。
Why(なぜ)なぜ起きたか(直接原因) 下降中に手を入れるという手順違反があった。(根本原因) 生産性を優先し、安全手順を省略しようとする意識があった。安全装置の設定が不適切だった。
How(どうするか)対策(暫定対策) すぐに作業を中止し、安全装置の設定を正しい位置に修正した。(恒久対策) 金型の取り出しには専用工具を使い、危険領域に手を入れない作業方法に変更する。

報告書作成の3つの原則

  1. 客観的に書く:「彼が不注意だった」ではなく、「彼が安全確認をせず機械を始動した」のように、見たままの事実を書きます。
  2. 分かりやすく書く:専門用語を避け、誰が読んでも状況を理解できる平易な言葉で書きましょう。
  3. すぐに書く:記憶が新しいうちに、できるだけ速やかに報告書を作成します。

ヒヤリハット活動を成功させる3つのコツ💡

報告書を集めるだけでは、職場の安全は向上しません。報告を継続的な改善につなげるための文化づくりが不可欠です。

  1. 「報告してくれてありがとう」の文化をつくる 報告の目的は、個人の責任を追及することではなく、システムの欠陥を見つけることです。「なぜミスしたんだ!」と叱責するのではなく、「危険を教えてくれてありがとう」と感謝する姿勢が、報告しやすい雰囲気を作ります。管理職が率先して報告することも効果的です。
  2. フィードバックを徹底する 提出された報告が、その後どうなったのかを必ず報告者にフィードバックしましょう。「報告のおかげで、〇〇という対策が実施されました」という一言が、報告者のモチベーションを高め、「報告してよかった」という実感につながります。
  3. 報告のハードルを下げる 複雑なフォーマットは、報告の意欲を削いでしまいます。スマホアプリを活用したり、選択式の項目を増やしたりするなど、簡単かつ短時間で報告できる仕組みを工夫しましょう。

【基礎知識】ヒヤリハットとは?なぜ重要なの?

最後に、ヒヤリハット活動の基本について簡単におさらいしましょう。

ヒヤリハットとは?

ヒヤリハットとは、仕事中に「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたりした、幸いにもケガや事故には至らなかった危険な出来事のことです。事故寸前の「ニアミス」もこれに含まれます。

用語定義具体例
ヒヤリハットケガはなかったが、危険を感じた出来事。棚から物が落ちそうになったが、寸前で押さえることができた。
インシデント事故につながる可能性があった出来事全般。深夜にサーバーエラーが発生したが、自動復旧した。
アクシデント実際にケガや損害が発生した「事故」。棚から物が落ち、作業員がケガをした。

なぜヒヤリハットが重要?ハインリッヒの法則

ヒヤリハットの重要性を説明するのが、「ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)」です。

これは、「1件の重大な事故の背景には、29件の軽い事故と、300件のケガに至らなかったヒヤリハットが隠れている」という統計法則です。

この法則が教えてくれるのは、重大事故もヒヤリハットも、根本的な原因は同じであるということです。つまり、300件のヒヤリハットの芽を一つひとつ摘み取っていくことが、重大事故を防ぐ最も効果的で確実な方法なのです。ヒヤリハットは、未来の事故を防ぐための「無料の教訓」と言えるでしょう。

まとめ

ヒヤリハットは、決して個人の失敗談ではありません。それは、職場に潜む危険を教えてくれる「貴重な情報」であり、安全な職場を全員で作り上げるための第一歩です。

この記事で紹介した例文や書き方を参考に、ぜひあなたの職場のヒヤリハット活動を活性化させてください。一つひとつの小さな気づきと報告が、あなたと仲間の未来の安全を守ることに繋がります。

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