企業スローガンの例文まとめ!心に響く有名企業の成功事例を解説

「会社の顔」となる、心に残るスローガンを作りたい。 そう思っても、「何から手をつければいいか分からない」「ありきたりな言葉しか浮かばない」と悩んでいませんか?

企業スローガンは、単なるキャッチコピーではありません。それは企業の魂、価値観、そして未来への約束を凝縮した「戦略的資産」です。

優れたスローガンは、社員の士気を高め、顧客の心を掴み、競合ひしめく市場で圧倒的な存在感を放ちます。

この記事では、国内外の秀逸なスローガン事例から、すぐに使える例文、そして誰でも実践できる作成フレームワークまで、スローガン作りの全てを網羅的に解説します。

この記事を読めば、あなたの会社の魅力を最大限に引き出す「最高の言葉」を見つけることができるはずです。

1. なぜ今、企業スローガンが重要なのか?3つの役割

効果的なスローガンには、大きく分けて3つの重要な役割があります。

  1. 社内の結束を高める「旗印」 従業員が同じ目標に向かうための共通言語となり、企業文化を育て、日々の意思決定の指針となります。
  2. 社外への約束を示す「顔」 顧客や社会に対して、自分たちが何者で、どのような価値を提供するのかを瞬時に伝えます。
  3. 市場での差別化を図る「武器」 数ある競合の中から自社を選んでもらうための、強力な記憶のフックとなります。例えば、「お、ねだん以上。」と聞けば、誰もがニトリを思い浮かべるでしょう。これがスローガンの力です。

2.【目的・用途別】今すぐ使える企業スローガンの例文

様々なシーンで活用できるスローガンの例文を、目的やテイスト別に分類しました。自社の目指す方向性に近いものを見つけて、作成のヒントにしてください。

お客様への約束・理念を伝えるスローガン例(BtoC/BtoB)

顧客に安心感と信頼を与え、企業の姿勢を示すスローガンです。

  1. 未来を照らす、一筋の光。 (IT・テクノロジー)
  2. 百年先も、この街と共に。 (建設・不動産)
  3. 「ありがとう」の、その先へ。 (サービス全般)
  4. 確かな技術で、明日を支える。 (製造業・BtoB)
  5. 笑顔が集まる、温かい場所。 (小売・飲食)
  6. あなたの「なりたい」を、現実に。 (コンサル・教育)
  7. 地球と共に、未来を育む。 (エネルギー・環境)
  8. 心と技術で、世界をつなぐ。 (物流・通信)
  9. 昨日より、もっと便利な今日を。 (ソフトウェア・アプリ)
  10. 品質に、偽りなし。 (メーカー全般)

挑戦・成長を促す社内向けスローガン例

社員のモチベーションを高め、一体感を醸成するためのスローガンです。

  1. 昨日の自分を超える。
  2. 失敗を恐れるな、挑戦しないことを恐れよ。
  3. 一人の100歩より、100人の一歩。
  4. 無理だと言うな、まずはやってみろ。
  5. 「なぜ?」から始めよう。
  6. 変化を楽しめ、変化を創り出せ。
  7. やらせてみよう、任せてみよう。
  8. 困難の先に、成長がある。
  9. 君の挑戦が、会社の未来だ。
  10. 報連相は信頼の第一歩。

安全・品質向上を誓うスローガン例

現場の意識を高め、ミスや事故を防ぐためのスローガンです。

  1. 安全第一、品質は生命。
  2. 「まあ、いいか」が事故のもと。
  3. 見逃すな、小さなヒヤリ。防ごう、大きなハットリ。
  4. 慣れた作業に潜む危険。初心忘るべからず。
  5. 指差し確認、声出し確認。
  6. 整理・整頓・清掃・清潔・躾(5S)の徹底。
  7. 品質は工程で作り込む。
  8. ちょっと待て、その一手間が品質を守る。
  9. 自分たちの職場は、自分たちで守る。
  10. 安全は全てに優先する。

かっこいい・スタイリッシュなスローガン例

先進性や独自性をアピールし、ブランドイメージを高めます。

  1. 常識を、塗り替えろ。
  2. 世界が、まだ見ぬ世界へ。
  3. 不可能を、可能に。
  4. 唯一無二の価値を、あなたに。
  5. 感動を、デザインする。
  6. 未来のスタンダードを、今。
  7. ただ、前へ。
  8. 静かなる革命。
  9. 想像を超え、創造する。
  10. Be a driver. (マツダ)

面白い・ユニークなスローガン例

親しみやすさを演出し、記憶に強く残ります。

  1. お口の恋人 (ロッテ)
  2. ココロも満タンに (コスモ石油)
  3. 地図に残る仕事。 (大成建設)
  4. ゴキゲン♪ワーゲン (フォルクスワーゲン)
  5. あしたのもと (味の素)
  6. Shave Time. Shave Money. (Dollar Shave Club)
  7. 何者でもないって、最強だ。 (博報堂)
  8. いい子になるな、いい個になれ (三井住友銀行)
  9. 腹が減っては、戦はできぬ! (社内食堂など)
  10. たぶん、世界で一番うまいビール (カールスバーグ)

短い一言・シンプルなスローガン例

覚えやすく、インパクトがあります。

  1. Just Do It. (ナイキ)
  2. Think different. (アップル)
  3. 味ひとすじ (永谷園)
  4. 水と生きる (サントリー)
  5. やってみなはれ (サントリー)
  6. カラダにピース。 (カルピス)
  7. Inspire the Next (日立グループ)
  8. お、ねだん以上。 (ニトリ)
  9. i'm lovin' it (マクドナルド)
  10. START YOUR IMPOSSIBLE (トヨタ)

グローバル・英語のスローガン例

世界市場を視野に入れた、普遍的なメッセージです。

  1. The Power of Dreams (Honda)
  2. Ideas for life (Panasonic)
  3. Imagination at Work (GE)
  4. The World's Online Marketplace (eBay)
  5. Make Believe (Sony)
  6. The Best or Nothing (Mercedes-Benz)
  7. Belong Anywhere (Airbnb)
  8. The Smarter Way to Workflow (ServiceNow)
  9. Quality is our business. (品質こそ、我らの仕事)
  10. Connecting people. (Nokia)

業界別スローガンの例文

【IT・テクノロジー】

71. テクノロジーで、感動を。
72. 複雑な世界を、シンプルに。
73. あなたのビジネスを、加速させる。
74. データが、未来を語り出す。
75. 0と1の先に、笑顔を創る。

【建設・不動産】

76. 街を創り、未来を築く。
77. 100年後も、愛される場所を。
78. 安心を、建てる。
79. 暮らしに、もっと自由を。
80. すべては、お客様の理想のために。

【製造業】

81. 匠の技を、世界へ。
82. 小さな部品に、大きな誇り。
83. 品質こそ、最高のサービス。
84. ものづくりで、社会を豊かに。
85. Made in Japanの、その先へ。

【飲食・食品】

86. 「おいしい」で、人を幸せに。
87. 大地の恵みに、感謝して。
88. 家族の食卓に、笑顔を。
89. 一杯に、心を込めて。
90. 食で、未来の健康を創る。

【人材・教育】

91. 人は、輝くために生まれてきた。
92. 可能性に、火をつけろ。
93. 「なりたい自分」へ、最短距離で。
94. 働く、を、もっと楽しく。
95. すべての出会いを、力に変える。

【医療・福祉】

96. あなたの「いつも」に、寄り添う。
97. ぬくもりと、安心を、すべての人へ。
98. 生きるを、支える。
99. 健やかな毎日を、未来へ。
100. 一人ひとりの尊厳を、守る。

3. 有名企業の秀逸スローガン事例:なぜあの言葉は心に響くのか?

伝説的なスローガンは、どのようにして生まれたのでしょうか。その背景と戦略を分析します。

ナイキ 「Just Do It.」:行動の哲学

  • 背景: 1988年、ナイキは単なるスポーツ用品メーカーでした。このスローガンは、製品の機能を超え、「決断力・挑戦・自己超越」という普遍的な価値観をブランドに与えました。驚くべきことに、この言葉は死刑囚の最期の言葉「Let's do it.」から着想を得ています。
  • 戦略的インパクト: このキャンペーンにより、ナイキはフィットネスブームの波に乗り、10年間で市場シェアを18%から43%へと劇的に拡大させました。単なる運動着ではなく、「自分を奮い立たせるための哲学」を売るブランドへと変貌を遂げたのです。

アップル 「Think different.」:反逆者のためのツール

  • 背景: 1997年、倒産寸前だったアップルに復帰したスティーブ・ジョブズが打ち出したスローガン。当時の業界王者IBMのスローガン「Think」への明確な対抗策でした。
  • 戦略的インパクト: 製品を一切見せず、アインシュタインやピカソなど「常識を変えた偉人」を広告に起用。これにより、アップルを「創造的で、常識にとらわれない人々のためのツール」として再定義しました。コアなファン層を熱狂させ、ブランドイメージを劇的に回復させることに成功しました。

資生堂 「一瞬も 一生も 美しく」:生涯にわたる約束

  • 背景: 化粧品がもたらす価値を、その場限りの美しさだけでなく、顧客の生涯に寄り添うものとして定義し直しました。
  • 戦略的インパクト: 「一瞬」という刹那的な価値と、「一生」という永続的な価値を両立させることで、顧客との長期的な関係性を築くという企業の姿勢を表明。安心感と深い共感を呼び、ブランドへの信頼を確固たるものにしました。これは、人間の「永続的な美と安心を求める根源的な欲求」に訴えかける見事な例です。

4. 失敗から学ぶ、スローガン作成で絶対に避けるべき3つの罠

一方で、意図が裏目に出てブランドを傷つけてしまったスローガンも存在します。失敗例から重要な教訓を学びましょう。

  • 罠1:文化的・社会的配慮の欠如
    • 事例: ニベアが中東向けに発信した「White is Purity(白は純粋)」という広告。デオドラント製品の色について言及したつもりでしたが、人種差別的と捉えられ世界的な批判を浴びました。
    • 教訓: グローバルな視点を持ち、言葉が持つ歴史的・文化的背景を理解することが不可欠です。
  • 罠2:社内の多様性の欠如
    • 事例: H&Mが黒人の子供モデルに「Coolest Monkey in the Jungle(ジャングルで一番クールなサル)」と書かれたパーカーを着せた広告。人種的侮辱と捉えられ、大規模な不買運動に発展しました。
    • 教訓: クリエイティブチームや承認プロセスに多様な視点がなければ、意図せず誰かを傷つける「死角」が生まれます
  • 罠3:ブランド価値との不一致
    • 事例: リーボックがドイツで展開した「Cheat on your girlfriend, not on your workout(ワークアウトはサボるな、彼女への浮気はOK)」という広告。不貞を助長するとして、女性蔑視的だと大炎上しました。
    • 教訓: エッジを効かせたつもりが、企業の核となる価値観や倫理観から外れてしまうと、顧客を深く失望させます。

これらの失敗は、スローガンが単なる言葉ではなく、企業の文化、見識、倫理観そのものを映し出す鏡であることを示しています。

5.【実践編】心に響く企業スローガンを作る5つのステップ

さあ、いよいよ自社のスローガンを作成しましょう。以下の5つのステップに従えば、誰でも戦略的で効果的なスローガンを考え出すことができます。

ステップ1:目的を定義する(誰に、何を伝えたいか?)

まず、スローガンの「核」を決めます。

  • ターゲットは誰か?: 顧客、株主、それとも従業員?
  • 最も伝えたいメッセージは何か?: 品質、革新性、親しみやすさ、社会貢献?
  • 企業のMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)と一致しているか?: 会社の根幹となる理念から外れていないかを確認します。

ステップ2:キーワードを洗い出す(ブレインストーミング)

自社らしさを表す言葉を、思いつく限り書き出します。この時、様々な部署の従業員を巻き込むのが成功の鍵です。

  • 自社の強み: 技術力、歴史、デザイン、顧客サポートなど
  • 顧客への提供価値: どんな問題を解決し、どんな便益(ベネフィット)を与えるか?(例:「時短」「安心」「ワクワク」)
  • ブランドの個性: 誠実、情熱的、革新的、親しみやすいなど

ステップ3:言葉を磨き上げる(シンプルに、覚えやすく)

キーワードを組み合わせて、フレーズを作成します。

  • 簡潔さ: 理想は10語未満。短く、覚えやすいか?
  • 明快さ: 誰が聞いても意味がわかるか?
  • 独自性: 他社が使っていない、ユニークな表現か?
  • リズム感: 口ずさみやすいか?声に出して読んでみましょう。カルピスの「カラダにピース。」のように、リズムが良いと記憶に残りやすくなります。

ステップ4:独自性とリスクを確認する(調査と比較)

考えたスローガン案が、他社と被っていないか、ネガティブな意味合いを持たないかを確認します。

  • 競合調査: 競合他社のスローガンをリストアップし、差別化できているかチェックします。
  • 商標調査: 他社によって商標登録されていないか確認します。
  • グローバルチェック: 英語や他の言語に訳した時に、意図しない失礼な意味にならないか確認します。

ステップ5:テストと選定(客観的な評価)

最終候補をいくつか選び、客観的なフィードバックを元に決定します。

  • 社内アンケート: 従業員にどのスローガンが最も共感できるか投票してもらう。
  • A/Bテスト: Webサイトや広告で複数のスローガンを試し、どちらのクリック率が高いかなどを測定する。
  • 顧客ヒアリング: 小規模なグループにスローガン案を見せ、どのような印象を受けるか直接聞く。

まとめ:スローガンは、会社の魂を映す鏡

本記事では、企業スローガンの例文から作り方の具体的なステップ、そして成功と失敗の事例までを網羅的に解説しました。

  • 優れたスローガンは、社内外に強力なメッセージを発信する戦略的資産である。
  • 作成の際は、目的を明確にし、キーワードを洗い出し、シンプルで覚えやすい言葉に磨き上げるプロセスが重要。
  • ナイキやアップルのように文化を創るスローガンもあれば、配慮を欠いて炎上するケースもある。

スローガン作りは、自社の存在意義を問い直し、自分たちの「魂」は何かを定義する貴重な機会です。それは決して簡単な作業ではありません。

しかし、この記事で紹介したフレームワークと事例を活用すれば、必ずやあなたの会社を輝かせる「最高の言葉」が見つかるはずです。

その一言が、従業員の心を一つにし、顧客を魅了し、あなたのビジネスを次のステージへと導く力になることを願っています。

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