
職場で「ここを改善したい」と思うことは誰にでもありますが、上司にそれを伝えるのは気を使うものです。伝え方を間違えると関係がぎくしゃくすることも。
本記事では、上司に角を立てずに改善を伝える方法を、具体例とともに紹介します。職場環境をより良くしたい人は必見です。
1.上司に改善を求める伝え方を表で整理
状況 | 丁寧なフレーズ | 客観的なフレーズ | 具体的な提案を含むフレーズ |
---|---|---|---|
プロセスの非効率性 | 「~のプロセスについて、より効率化できる余地はないかと感じています。」 | 「現在の~のプロセスでは、~という点で時間がかかっています。」 | 「~のプロセスを~のように変更することで、〇〇%の時間短縮が見込めます。」 |
リソース不足 | 「~の業務を進める上で、もし可能であれば~というリソースのサポートをいただけると助かります。」 | 「現在、~の業務に必要なリソースが不足しており、△△という影響が出ています。」 | 「~というリソースを導入することで、業務効率が向上し、納期遅延のリスクを減らすことができます。」 |
コミュニケーションの問題 | 「~について、より円滑なコミュニケーションを図るために、何か良い方法はないでしょうか?」 | 「現在の~のコミュニケーション方法では、情報伝達に誤解が生じやすい状況です。」 | 「~というツールや会議形式を導入することで、チーム内の情報共有がスムーズになり、誤解を防ぐことができると考えます。」 |
2.上司に改善を求める前の準備
上司に改善を求める前に、まずは冷静に準備を整えることが大切です。
感情のままに伝えてしまうと、相手に誤解されたり、防衛的な態度を引き出してしまうこともあります。
以下の3つのステップを意識することで、より建設的な提案ができるようになります。
自分の感情を整理する(感情的にならない)
上司に対する不満があると、つい感情的に伝えてしまいがちです。しかし、感情が先行すると、相手には「クレーム」や「攻撃」と受け取られてしまう可能性があります。
まずは一度冷静になって、自分がなぜそのように感じているのかを整理しましょう。メモに書き出してみるのもおすすめです。
改善したい理由を明確にする(チーム全体の視点を持つ)
「なぜそれを改善してほしいのか」という理由が曖昧だと、上司にとっても納得感のある提案にはなりません。
自分だけの不満や都合ではなく、「チームの生産性を上げるため」「お客様により良い対応をするため」など、全体のメリットを意識した説明が伝わりやすくなります。
「愚痴」ではなく「提案」として捉える視点を持つ
単なる不満や愚痴ではなく、「どうすれば改善できるか」という視点を持って話すことで、上司も前向きに受け止めやすくなります。
たとえば「このやり方は非効率です」ではなく、「この部分をこう変えると、作業時間が短縮できると思います」といった、具体的かつ前向きな提案を意識しましょう。
3.上司に改善を求める伝え方のコツ
上司に改善を求める際は、伝え方ひとつで相手の受け取り方が大きく変わります。内容が正しくても、伝え方を誤ると反発を招いたり、聞き入れてもらえなかったりすることも。ここでは、上司に対して角を立てずに意見を伝えるための4つのコツをご紹介します。
A. タイミングを選ぶ
どんなに内容が正論でも、タイミングを間違えると逆効果です。上司が忙しそうにしているときや、明らかに機嫌が悪そうなときに話しかけるのは避けましょう。できれば落ち着いた時間帯や、1対1で話せる環境を選ぶことで、相手も話を受け止めやすくなります。
B. クッション言葉を使う
改善点を直接伝えると、どうしても指摘や批判のように受け取られる可能性があります。そこで効果的なのが「クッション言葉」です。
例:
- 「お忙しいところすみませんが…」
- 「◯◯さんのやり方には学ぶことも多いのですが…」
このような一言を添えるだけで、印象は大きく変わります。柔らかい印象を与えることで、上司も心を開きやすくなります。
C. 主語を「私」にする
話し方を「あなたが〜」という主語にしてしまうと、上司が責められていると感じてしまう可能性があります。そこで、「私はこう感じました」「私にはこう見えました」と、自分の視点から話すようにしましょう。たとえば「私自身はこう感じていて、もっとこうなれば良くなると思いました」といった表現が有効です。
D. ポジティブな提案形式にする
ただ問題点を並べるだけでは、単なる批判になってしまいます。改善の提案はできるだけポジティブに、未来志向で伝えましょう。
例:
- 「◯◯を改善することで、もっと効率が上がると思います」
- 「この方法を取り入れると、チーム全体の負担も軽くなるかもしれません」
このように、提案には“改善した先のメリット”を添えることで、上司も納得しやすくなります。
4.NGな伝え方・やってはいけないこと
上司に改善を求める際には、「伝え方」以上に「やってはいけない伝え方」に注意することも重要です。どれだけ正当な意見でも、アプローチを間違えると信頼を失ったり、関係が悪化してしまう可能性があります。ここでは避けるべき伝え方の代表例を紹介します。
感情的に詰め寄る
不満が募ると、つい感情的になってしまいがちですが、怒りや苛立ちをぶつける形で上司に詰め寄るのは逆効果です。相手に防御反応を与えてしまい、内容を真剣に受け取ってもらえなくなるどころか、あなた自身の印象も悪くなってしまいます。まずは感情を整理し、冷静に伝えることを心がけましょう。
他の人の悪口を交えて伝える
「◯◯さんも同じことを言っていました」「他の人も不満を持っているようです」といった、第三者を引き合いに出すのは避けましょう。本人のいないところで他人の意見を引用すると、陰口や告げ口と受け取られてしまい、上司との信頼関係だけでなく、職場全体の空気も悪くなる恐れがあります。意見はあくまで「自分の視点」として伝えることが大切です。
一方的に「こうすべき」と押し付ける
改善を求めるときに「これが正しい」「こうすべきです」と断定的に言い切ると、上司にとっては命令や批判に聞こえてしまうことがあります。たとえ内容が正しくても、相手の立場や考えを尊重しない姿勢は、反発を招きかねません。「◯◯してみるのはどうでしょうか?」「こういう方法もあるかもしれません」と、提案ベースの表現にとどめるようにしましょう。
まとめ
上司に改善を求めることは、組織全体の成長にとって不可欠なプロセスです。本報告書で述べたように、事前の準備をしっかりと行い、適切なコミュニケーション方法と敬意ある態度で臨むことが重要です。
上司との信頼関係を築きながら、建設的な対話を通じて、より良い職場環境と業務成果の実現を目指しましょう。
改善要求がすぐに受け入れられなかったとしても、諦めずに、粘り強くコミュニケーションを取り続けることが、最終的な目標達成への鍵となります。