身内の不幸を伝えるメールの書き方、親族と知人への配慮と作法

突然の訃報を伝えるとき、どんな言葉を選べばいいのか悩む方は多いはずです。とくにメールの場合は、言葉の選び方や文面の丁寧さによって、相手への印象や受け取り方が大きく変わります。

記事では、親族や知人に配慮した「身内の不幸を伝えるメール」の書き方やマナー、文例をわかりやすく解説します。

1. 身内の不幸を伝える前に知っておきたいメールで配慮すべきこと

近年、電子メールは、重要な情報を伝達する手段として広く普及しており、身内の不幸といった知らせも例外ではありません 。

メールは迅速かつ広範囲に情報を伝達できる利便性を持つ一方で、日本の文化においては、弔事に関する知らせは伝統的に電話や書面で行われてきた背景があります。

そのため、メールで訃報を伝える際には、相手への配慮を欠くことのないよう、適切な言葉遣いやマナーを守ることが極めて重要となります。

特に、受け取る側の年齢や、故人との関係性、そして何よりも弔意を示すという観点から、メールの持つ利便性と、伝統的な弔いの形式とのバランスを考慮する必要があります。  

2. 身内の不幸を伝えるメールの書き方「親族と知人に送る場合」

件名の書き方と例

親族へ訃報を伝えるメールの件名では、一目で内容が訃報であることがわかるように「訃報」という言葉と、故人の名前を明記することが重要です 。

これにより、受信者はメールを開封する前に内容を把握することができます。より丁寧な印象を与えるためには、故人の名前の後に「儀」という文字を加えることもあります。

送信者の名前を加えることで、誰からの連絡であるかをすぐに理解してもらうことができます 。

例:訃報:〇〇(故人名)儀  

例:【訃報】〇〇(故人の氏名)  

例:【訃報】〇〇(故人名)儀(差出人名)

本文に含めるべき必須情報

親族へのメールの本文では、丁寧な挨拶から始まり、故人の氏名、死亡日時、差出人と故人の続柄を明確に記載します。

もし葬儀の詳細が決まっていれば、通夜と葬儀・告別式の日時、場所(住所と電話番号)、宗教形式などを具体的に記載します 。喪主の名前と連絡先も忘れずに記載しましょう。

故人が生前お世話になったことへの感謝の言葉を添えることも大切です。

家族葬を行う場合や、香典、供花、供物などを辞退する場合は、その旨を明確に伝えるようにしましょう 。最後に、丁寧な結びの言葉と差出人の名前、連絡先を記載します。

例:お世話になっております 。  

例:突然のご連絡失礼いたします 。  

例:父〇〇が〇月〇日〇時〇分に永眠いたしました 。  

例:〇〇の長男の〇〇です 。  

例:喪主:〇〇(長男) 。  

例:TEL:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇 。  

例:生前は懇意にしていただきほんとうにありがとうございました 。  

例:故人の生前の遺志により、家族葬にて執り行いたく存じます 。  

例:誠に勝手ながら、ご香典、ご供花、お供物などのご厚志につきましては、失礼ながら辞退とさせていただきます 。  

親族へのメール例文

例文1:葬儀の詳細が決まっている場合

件名:【訃報】〇〇(故人名)儀(〇〇より)

〇〇様   いつもお世話になっております。〇〇(差出人名)、〇〇(故人)の長男です。

父 〇〇(故人名)が、かねてより病気療養中のところ、〇月〇日〇時〇分に永眠いたしました。

ここに生前のご厚情に深く感謝し、謹んでお知らせ申し上げます。 通夜ならびに葬儀告別式は下記の通り執り行います。 お忙しいところ恐縮ですが、ご参列いただければ幸いです。

  1. 通夜 〇月〇日(〇) 午後〇時~午後〇時 自宅:〇〇県〇〇市〇〇町〇番地〇〇葬儀告別式 〇月〇日(〇) 午前〇時~午前〇時 〇〇斎場:〇〇県〇〇市〇〇町〇番地〇〇 TEL:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇宗教形式:仏式(〇〇宗)喪主:〇〇(長男)
葬儀まで日が迫っており、取り急ぎメールにてご連絡いたしましたこと、ご容赦ください。

〇〇(差出人名) TEL:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇

例文2:まず訃報のみを伝える場合

件名:【訃報】〇〇(故人名)逝去のお知らせ(〇〇より)

〇〇様   ご無沙汰しております。〇〇(差出人名)です。 この度、父 〇〇(故人名)が〇月〇日に永眠いたしました。 長らくご心配をおかけしておりましたが、このようなご報告となりましたこと、心苦しく存じます。

通夜・葬儀につきましては、詳細が決まり次第改めてご連絡させていただきます。 何かございましたら、遠慮なくご連絡ください。 〇〇(差出人名) TEL:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇

例文3:家族葬を事後報告する場合

件名:【ご報告】父 〇〇(故人名) 永眠のご報告(〇〇より)

〇〇様   〇〇(差出人名)です。 先般、父 〇〇(故人名)が〇月〇日に永眠いたしました。 生前は大変お世話になり、心より感謝申し上げます。

つきましては、故人の遺志により、葬儀は近親者のみにて執り行いましたことをご報告させていただきます。

誠に勝手ながら、香典、供花、供物等は固く辞退させていただきます。 本来であれば直接ご挨拶すべきところ、メールでのご連絡となりましたこと、何卒ご容赦ください。

〇〇(差出人名) TEL:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇

3. 身内の不幸を伝えるメールの書き方知人・友人に送り方」

件名の書き方と例

知人・友人へのメールの件名も、訃報であることが明確に伝わるように「訃報」という言葉と故人の名前を含めることが望ましいです 。親しい間柄であれば、「〇〇(故人の名前)のこと」といった件名でも良いでしょう 。

例:〇〇(故人の名前)のこと  

例:【訃報】〇〇(故人の氏名)  

関係性に応じたトーンと内容

親しい友人へ送る場合は、より個人的で共感的なトーンが適切です 。自身の悲しみや、相手への気遣いの言葉を添えましょう 。故人と生前に親しくしてくれたことへの感謝を伝えることも大切です 。一方、それほど親しくない知人へ送る場合は、敬意を払いながらも、必要な情報を簡潔に伝えることを心がけましょう 。

例:突然の知らせに驚いています 。  

例:生前は父と親しくしてくれてどうもありがとう 。  

含めるべき必須情報(親族へのメールと共通する点と異なる点)

死亡日時、差出人と故人の続柄は同様に記載します。葬儀の詳細については、参列してほしい場合は具体的に記載しますが、家族葬などで参列を遠慮する場合は、その旨を明確に伝えます 。連絡先を記載することも重要です。  

4.身内の不幸を伝えるメールの書き方知人・友人への送り方」

例文1:親しい友人へ、葬儀への参列をお願いする場合

件名:〇〇(故人の名前)のこと

〇〇へ  

突然の連絡で驚かせたらごめん。〇〇(差出人名)です。 父 〇〇(故人の名前)が、〇月〇日〇時〇分に亡くなりました。 生前は父と親しくしてくれて、本当にありがとう。

葬儀は下記の通り執り行います。 もし都合がつけば、父の最期を見送ってほしいです。

日時:〇月〇日(〇) 午前〇時~ 場所:〇〇斎場(〇〇) 喪主は〇〇です。 何か分からないことがあったら、遠慮なく〇〇に連絡ください。 〇〇(差出人名)

例文2:知人へ、葬儀の詳細を伝える場合

件名:【訃報】〇〇(故人の氏名)

〇〇様  

〇〇(差出人名)です。突然のご連絡失礼いたします。

〇〇(故人の名前)が〇月〇日に永眠いたしました。 生前のご厚情に深く感謝いたしますとともに、謹んでご通知申し上げます。 葬儀につきましては、下記の通り執り行います。

ご多忙中とは存じますが、ご参列賜りますようお願い申し上げます。

日時:〇月〇日(〇) 午前〇時~ 場所:〇〇斎場(〇〇) 喪主:〇〇(喪主の氏名) 連絡先:〇〇(連絡先) 〇〇(差出人名)

例文3:家族葬を終えた後、親しい友人へ報告する場合

件名:父 〇〇(故人名)永眠のご報告

〇〇へ  

〇〇(差出人名)です。 〇月〇日に父 〇〇(故人名)が永眠しました。 先日、父の遺志により、家族葬で静かに見送りました。 生前は色々話を聞いてくれて、本当にありがとう。 落ち着いたらまた連絡するね。 〇〇(差出人名)

5. 弔いのメールにおける主要な要素

件名:明確さと即時理解の確保

件名には、訃報であることと故人の名前を必ず含めることで、受信者に内容を迅速かつ正確に伝えることが重要です 。送信者の名前を加えることで、誰からの連絡であるかをすぐに把握できます 。  

冒頭の挨拶:敬意と思いやりをもって訃報を伝える方法

親族や知人に対しては、「お世話になっております」や「突然のご連絡失礼いたします」といった丁寧な挨拶を用いるのが基本です。

親しい友人に対しては、「〇〇へ」といった呼びかけに続けて、驚きや悲しみの気持ちを伝える言葉を添えるなど、より個人的な表現を用いることもできます 。  

故人に関する情報:必要な詳細と適切な範囲

故人の氏名、死亡年月日、年齢(享年)は必ず記載します 。差出人から見た故人の続柄も明記しましょう。死因については、特に伝える必要がない限り省略するのが一般的です 。  

葬儀の詳細:通夜と葬儀に関する重要な情報

葬儀を行う場合は、日時、場所(住所、電話番号、斎場名など)、宗教形式を正確に記載します 。参列を希望する場合は、その旨を丁寧に伝えます 。  

参列のお願い(該当する場合)と家族葬の場合の対

葬儀への参列をお願いする場合は、「ご多忙中とは存じますが、ご参列賜りますようお願い申し上げます」といった表現を用います。

家族葬を行う場合は、その旨を明確に伝え、香典や供花などを辞退する意向があれば、その旨も丁寧に記載します 。  

結びの言葉と連絡先

結びの言葉には、「取り急ぎメールにてお知らせいたしました。失礼の段ご容赦ください」といった定型句を用いるほか、相手への気遣いの言葉などを添えることもあります 。最後に、差出人の氏名と連絡先を改めて記載します。  

6. 重要な礼儀作法

句読点:伝統的な見解と現代のメールにおける慣習

伝統的な弔いのメッセージでは、句読点を使用しないという考え方があります。「葬儀が滞りなく終わるように」という願いが込められているためです 。しかし、現代のメールにおいては、句読点がないと読みにくくなるため、句読点を打つ代わりにスペースを入れるなどの配慮をするのが良いでしょう 。  

時候の挨拶:弔いのメールで省略すべき場合

時候の挨拶(「〇〇の候」など)は、弔いのメールでは省略するのが一般的です 。訃報という緊急の知らせに、時候の挨拶はふさわしくありません。  

敬称と丁寧語の使用

親族や友人に対しても、丁寧語や謙譲語を用いることが基本です 。故人の名前には「故〇〇様」といった敬称をつけます 。相手の家族を指す場合も、「ご尊父様」のように敬称を用いるのが適切です 。  

タブー語と重ね言葉の回避

「死ぬ」といった直接的な表現は避け、「逝去」や「永眠」といった婉曲的な言葉を用いるようにします 。同じ言葉を繰り返す「重ね言葉」(例:「ますます」「度々」「くれぐれも」)は、不幸が重なることを連想させるため避けるべきです 。また、「頑張って」や「元気を出して」といった励ましの言葉も、遺族の気持ちを考えると不適切となる場合があります 。  

7. 弔いのメールにおける宗教的配慮

宗教的信念が適切な表現に与える影響(例:「ご冥福をお祈りします」)

「ご冥福をお祈りします」という表現は仏教で一般的に用いられますが、神道やキリスト教では死後の考え方が異なるため、不適切となる場合があります 。仏教の中でも、浄土真宗では故人は亡くなるとすぐに仏様になると考えられているため、「冥福を祈る」という表現は用いません 。  

異なる宗教における代替表現

浄土真宗の場合は、「心よりお悔やみ申し上げます」や「安らかなお眠りをお祈りいたします」を用いるのが適切です 。神道の場合は、「御霊のご平安をお祈りいたします」や「御安息をお祈りいたします」といった表現を用います 。キリスト教の場合は、「安らかに眠られますようお祈りいたします」や「神の御許で安らかでありますように」といった表現が一般的です 。  

相手の宗教が不明な場合の言葉選びの指針

相手の宗教がわからない場合は、「お悔やみ申し上げます」という表現を用いるのが最も無難で、どの宗教にも通用します 。より формальный な表現としては、「哀悼の意を表します」があります 。  

8. メール以外の連絡手段を選ぶべき場合

電話や直接的なコミュニケーションがより適切な状況(例:近親者、高齢者)

近親者や特に親しい間柄の親族には、訃報はまず電話で伝えるのがより丁寧で、直接的な哀悼の意を示すことができます 。高齢者の中には、メールに慣れていない方や、書面や電話といった伝統的な連絡手段を好む方もいるため、そのような方々には電話で連絡するのが望ましいでしょう 。  

緊急性や個人的な性質を考慮する

非常に緊急性の高い知らせの場合や、個人的な感情をより深く伝えたい場合は、電話の方がメールよりも適しています 。メールは効率的な伝達手段ですが、直接的な声のトーンや感情を伝えるには限界があります。  

結論:敬意と配慮をもって訃報メールを作成するための主要原則

訃報をメールで伝える際には、相手への配慮、明確かつ簡潔な情報伝達、そして日本の文化的な礼儀作法を遵守することが最も重要です。メールの利便性を活かしつつ、相手との関係性や状況に応じて適切なトーンと表現を選ぶ必要があります。

句読点の使い方、時候の挨拶の省略、宗教的な配慮といった細部にまで気を配り、場合によっては電話や直接的なコミュニケーションを選択することも検討しましょう。

これらの原則を守ることで、故人を偲び、遺族に寄り添う気持ちを適切に伝えることができるでしょう。

貴重な表

  1. 必須情報チェックリスト
情報項目記載しましたか? (はい/いいえ)
件名に「訃報」を含める
件名に故人の名前を含める
件名に差出人の名前を含める
丁寧な冒頭の挨拶
故人のフルネーム
死亡年月日と時刻
差出人と故人の続柄
通夜の詳細(日時、場所)
葬儀・告別式の詳細(日時、場所)
宗教形式
喪主の名前
連絡先
生前の故人への感謝の言葉
家族葬を行う旨の記載
香典・供花・供物辞退の旨の記載
丁寧な結びの言葉
差出人の名前
差出人の連絡先
  1. 主要な礼儀作法
礼儀作法指針
句読点本文では、伝統的な句読点の代わりにスペースの使用を検討してください。
時候の挨拶省略してください。
言葉遣い丁寧で敬意のある言葉遣いを心がけ、故人には敬称を使用してください。
タブー語直接的な「死」という言葉を避け、婉曲的な表現を使用してください。
重ね言葉同じ言葉やフレーズの繰り返しは避けてください。
不適切な励ましの言葉「頑張って」や「元気を出して」といった励ましの言葉は避けてください。
  1. 宗教別弔いの言葉
宗教・宗派適切な弔いの言葉
仏教(一般)ご冥福をお祈りします
浄土真宗心よりお悔やみ申し上げます 安らかなお眠りをお祈りいたします
神道御霊のご平安をお祈りいたします, 御安息をお祈りいたします
キリスト教安らかに眠られますようお祈りいたします, 神の御許で安らかでありますように
宗教不明の場合お悔やみ申し上げます , 哀悼の意を表します
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